フットボールと人びと Arabic

アラビア語メディアのサッカー記事で読む中東地域の現在

Euroを標的にするイスラム国

まもなくEuro2016がフランスで開幕しますね。ここ数日、この大会を標的にしたテロ計画に関する報道が続いています。大勢の人たちがフランス国内のあちこちに集まるわけで、しかも世界的な注目度も高い。ゲームとは違うところで、とても緊張感あふれる大会となりそうです。

今回紹介する記事も、そのうちの一つ。イスラム国が大会初日に行われるロシア対イングランド戦でテロ事件を起こそうとしているというニュースです。無人機で化学兵器も使用する計画もあるといいますから、もし実施されてしまったら恐るべき事態になりかねません。

ただし、今回の記事、同種の記事は少なくとも日本のメディアで読んだことがないので、どこまで事実か、疑わしい気もします。たとえば、もし本当に実戦にもたえうる無人機をすでにイスラム国が持っているとしたら、これ自体、深刻な問題だと思いますが、ぼくの知る限り話題になっていないようです(知らないだけか)。

また、ネタ元である「ザ・サン」という新聞は、ウィキペディアによると「この新聞に批判的な報道によると、この新聞のイギリスにいる移民や難民希望者に関する記事には真偽不明やおおげさなものがあり、人種偏見や差別を意図的に煽っているとされている」ということです。しかも、これをロシアのメディアが加工して記事にしているわけですから、注意が必要かもしれません。

実際、この記事には不自然な点があります。イスラム国からすれば、彼らの憎しみの矛先はイギリスよりむしろロシアに向けられるだろうと思うのですが、記事では、なぜかあたかもイギリス人サポーターだけが狙われているような書きぶりなんです。

とはいえ、記事で治安当局者が話している通り、スタジアムやその周辺だけを警備すればすむわけでなく、試合後サポーターたちが大挙押しかける飲み屋なども格好のテロの対象となるわけで、最後まで安全に運営されるのか、本当に不安を感じてしまいます。なんとか無事にと祈るばかりです。

 


元記事URL:

https://arabic.rt.com/news/825332-داعش-يشن-حربا-عالميا-على-مشجعي-كرة-القدم/

イスラム国、サポーターを世界戦争の標的に

2016年5月30日
RT(旧ロシア・トゥデイ)アラビア語

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(写真 https://arabic.rt.com/news/825332-داعش-يشن-حربا-عالميا-على-مشجعي-كرة-القدم/ より)

 

イラクではレアル・マドリードのファンへの流血事件が起こったばかりだが、ダーイシュ(イスラム国)が、Euro2016の初戦となるロシア対イングランド戦の直前、イギリス人サポーターに対してテロ事件を計画していることが、明らかになった。

イギリスの「ザ・サン」紙は(2016年)5月30日月曜、パリの連続テロ事件の首謀者、サラ・アブデスラム(サラーフ・アブドゥルサラーム)が所持していたコンピューターに、爆薬ベルトを装着し、自動小銃で武装した自爆攻撃要員によるテロ計画の実行を示す声明が、保存されていたと報じた。また有毒化学物質を搭載した無人機を使用することも計画されているという。テロ計画は、6月11日土曜、マルセイユで予定されているロシア対イングランド戦の直前、イギリス人サポーターを標的にしたものである。

同紙は、アブデスラムが逮捕されているにもかかわらず、ヨーロッパのダーイシュの信奉者らによってテロ実施が計画されていることの持つ危険性について強調している。

同紙によると、試合後、イギリス人サポーターらは、「スリーライオンズ」(訳注=イングランド代表の別称)の勝利を祝うため、あるいは負けたときもお互い慰めあうために、スタジアム周辺の警備地域外にあるバーやレストランに向かうことになるが、イギリスの治安機関もまた、このときサポーターらがテロにさらされる可能性について危惧しているという。

数万人ものイギリス人サポーターが試合後、マルセイユの旧港地区にあるバーやレストランに向かうとみられている。

同紙は、捜査当局が、ブリュッセルにあるアブデスラムの隠れ家の一つを家宅捜索した際、押収したノートパソコンの中に、マルセイユ旧港に関する写真や情報が保存されているのを捜査員が発見していることも明らかにしている。

また、そのコンピューターには、大勢のサポーターを殺害することをねらったテロ計画を準備していることを示す様々な声明も含まれているという。テロ計画は、「カラシニコフ」銃で武装した自爆攻撃要員、さらには、有毒物質を搭載した無人機をも利用したものだという。

同紙は治安機関の複数の関係者の話として、中東でのダーイシュに対する戦争におけるロシア、イギリス両国が果たしている顕著な役割を理由に、両国のサポーターらが、新たなテロ計画の標的とされている、と述べている。

また複数の治安担当者によると、治安機関が、スタジアム周辺とサポーターらに割り当てられた地区(訳注=「サポーターらに割り当てられた地区」が何を意味するのか不明)での警備に最大限の努力をすると同時に、マルセイユのすべてのレストランやバーの安全を保障することは難しいと警告しているという。

ザ・サン」紙は、今年3月にアブデスラムを逮捕したにもかかわらず、彼が創設したテロ組織が同じ月の22日、国際空港と市の地下鉄の駅で流血事件を引き起こしたことに、注意を促している。

これに関連して、同紙はまた、マルセイユではイスラム教徒が住民の40%を占めており、ヨーロッパにおいて最も危険な町と見なされるようになっていることにも言及している。

そして、同紙は、警察関係者の話を引用して、「マルセイユはフランスにおける『カラシニコフ』の首都と言われて」おり、ダーイシュの大勢のリクルーターもいると述べている。

今年のヨーロッパ選手権は、過去例を見ない厳戒態勢の中、実施されることになっている。イギリスからも3つの治安機関・諜報機関が警備に参加する予定である。

この土曜(5月28日)、イラクのサーマッラーでは、16人のレアル・マドリードファンが死亡する事件がすでに起こっている。これは(今月発生したサッカーファンを狙った)2回目のテロ事件で、武装した人物がイラクのこのスペインクラブのサポーターを標的に実行したものだ。1回目の事件は同月13日、イラクの首都バグダッドの北に位置するバラドという町で起こっている。

(情報源:「ザ・サン」紙)