フットボールと人びと Arabic

アラビア語メディアのサッカー記事で読む中東地域の現在

「希望リーグ」始まる

f:id:t_zono:20150625204134j:plain

(写真:http:// http://www.aljazeera.net/news/sport/2015/4/13/كرة-القدم-مساحة-تنفس-للشاب-السوري-اللاجئより)

 シリアからの難民数は約400万人。その中には、国内リーグの強豪チームに所属していた選手、関係者もいるようです。

周辺国に脱出した難民たちによるリーグ戦も行われているといいます。レバノンのアッカール地方に逃れた若者たちで行われているのはその名も「希望リーグ」。戦時下のシリア国内で、国内リーグが継続していることも驚きですが、難民リーグなんてのがあるなんて。

アパルトヘイト時代の南アフリカでは、刑務所でFIFAのルールにのっとった「囚人リーグ」が囚人自身により運営され、それを通して反アパルトヘイト運動の結束を高め、組織性を身につけていったそうですが、シリア人難民によるリーグ戦もそういった役割を果たしていくのでしょうか。

いやそんな「難民の物語」を期待するのではなく、記事にもあるとおり、彼ら自身最大の勝利と呼ぶ、一刻も早い帰還が実現することを願うほうが先ですね。

元記事

http:// http://www.aljazeera.net/news/sport/2015/4/13/كرة-القدم-مساحة-تنفس-للشاب-السوري-اللاجئ

アルジャジーラ・ネット

2015年4月13日

サッカー シリア難民の若者にとってかけがえのない空間

ウサーマ・アウウィード
レバノン北部=アッカール)

 


レバノン北部、アッカールのベブニーン地区にある粗末なスタジアムに、シリア難民によるサッカーの「希望リーグ」開始のホイッスルが鳴った。難民によるリーグ戦実施は、レバノンにおいては初めてのことである。
リーグにはシリアの様々な地域から7チームが参加。参加している若者たちにとってここは、希望の広がりと、騒音や戦争の痛みから逃れるためのかけがえのない空間となっている。
各チームの名称は、以下の通り彼らの思考やアインデンティティーの保持、故郷のお気に入りのものにちなんだ物語を表したものなど、様々である。すなわち、アシュバール・シャーム(訳注:シリアの若獅子)、ハーリド・ブン・ワリード(同:イスラーム初期の武将の名前)、ガザール(同:動物のガゼル)、シャバーブ・ホムス(同:ホムスの若者)、シャバーブ・スーリーヤ(同:シリアの若者)、スーマ(同:シリアの有名なストライカーの名にちなんだものか?)、アシュバール・ホムス(同:ホムスの若獅子)。

■離散者の集まり

「ハーリド・ブン・ワリード」チームの監督、キャプテン・ヒサーム・タルカーウィーはアルジャジーラ・ネットの取材に対して、次のように言っている。
「チームに所属する選手のほとんどホムスの出身です。ぼくらは現在、身に降りかかるありとあらゆる不安や問題があるにもかかわらず、練習とフィジカルトレーニングを続けています。しかし、ここで素晴らしい結果を出してお見せしますよ」
そしてこう付け加えた。
「ぼくたちは、若者たちの中にあるチャレンジャー精神を表現するため新たに集まったんです。ぼくらの中にはこの戦争で家族や親戚、友人を亡くしていないものは一人もいません。シリアにいるとき、サッカーがぼくらのことをひとつにしてくれた。今ここレバノンでぼくらのことをひとつにしてくれるこの競技を、ぼくらは続けているのです」
ハーリド・シューファーン選手はカラマ(訳注:シリアの強豪クラブ)でプレーしていた元選手で、今はガザールに所属している。彼はアルジャジーラの取材にこう話した。
「このリーグ戦は、シリア革命以降の4年間で、戦争がぼくらを散りじりにした後、選手みんなのために開催されたものなんです。このリーグのおかげで、ぼくらがホムスの町でずっと以前からともに過ごしてきたチームメイトや友人たちと会うことができたんです」

■希望の空間

リーグの主催者で、選手兼レフリーのレバノン人、ハサン・アーシュール氏は「シリア人の難民コミュニティには、食べ物や飲み物、住居だけが必要なのではありません。気持ちを和らげたり、エネルギーを発散する機会も必要なんです」と考えている。
その上でこう付け加えた。
「シリアの若者たちも他の若者同様に、人生を生きる資格があるのです。リーグ戦はその出発点として行われたものです。これはきっとその役割を果たしていることになるでしょう。レバノンのアスリート、アッカール地方の他のアスリートのように、われわれは、アッラーのお許しを得て、最大の役割に取り組むことになるでしょう。その中で、レバノンとシリアの両国民間に友情と愛情の精神を広げる重要な役割を、シリア人難民が担っていくことになるでしょう」
そして、彼はさらにこう続けた。
「リーグ戦には7チームが参加しています。今日は、ガザールがハーリド・ブン・ワリードに6−2で勝ちました。全チーム優勝に向かって努力していくことになるでしょう。だがあなたは、選手たちの目が、それよりももっと大きなもの、最大の勝利と名付けているものを凝視していることに気づくと思います。それは帰還し、祖国の胸に抱かれてプレーすることです」