フットボールと人びと Arabic

アラビア語メディアのサッカー記事で読む中東地域の現在

エジプトでサポーターと警官隊が衝突 22人死亡

f:id:t_zono:20150625161016j:plain

(写真:http://www.alquds.co.uk/?p=292378より)

2011年1月のいわゆるエジプト民衆革命(ムバラク政権を民衆のデモが打倒し、その後選挙でムスリム同胞団ムハンマド・ムルシーが大統領に就任)以降、政情が不安定だったエジプトでは、翌年2月、サッカーの試合後、エジプトのみならずアフリカを代表するクラブチーム、アルアハリーのサポーターが暴動を起こし多数の死者を出す大惨事がありました。

この暴動は背景、原因がよくわからない事件とされています。ところが、2015年2月、今度はザマーレクという国内ではアルアハリーとライバル関係にあるクラブのサポータと警官隊が衝突、またしても多数の死者を出す惨事となりました。

両事件とも日本でも大きく報道されていますので、ご記憶の方も多いかと思います。

熱狂的なサポーターによる暴力事件は世界各地起こっています。しかし、多数の死者を出す事件がこう立て続ける起こる国というのはめずらしい。サッカーに入れあげたあまり、我を失った血の気の多い若者が起こした事件とは単純には言えないように思います。エジプトではサッカーは市民にとって単なるエンターテインメントにとどまらない存在、あるいはある種の社会的機能を有しているという気がします。

元記事

مقتل 22 شخصا على الاقل في اشتباكات بين الشرطة المصرية ومشجعي فريق الزمالك | القدس العربي Alquds Newspaper

 クドゥス・アラビー 2015年2月8日

少なくとも22人が死亡
エジプトで警官隊とザマーレクのサポーターが衝突


カイロ AFP

カイロのディファーウ・アルジャウウィースタジアム(直訳:防空スタジアム)前で日曜夜、警官隊との衝突で、サッカーのザマーレク・クラブのサポーター22人が死亡、少なくとも25人が負傷した。検察庁と保健省が発表した。

検察庁が発表した声明によると、現時点での死者の数は22人に達し、21人の遺体は、カイロにある保健省のザイナヤフム検死室に搬送された。

保健省は、治療のため病院に運ばれた負傷者は25人以上になると明らかにしている。

エジプト当局は、2012年ポートサイドで行われたサッカーの試合中、死者数十人を出した事件の対応措置として、無観客での試合の実施を決定していたが、この日の試合は、3年ぶりに会場に観客の入場を認めて行われた最初の試合だった。

複数の目撃者によると、衝突は、「ウルトラス・ホワイト・ナイト」の名前で知られるザマーレクのサポーター集団がスタジアムに入ろうとするのを、警官隊が阻止しようとしたときに起こった。サポーター集団はこれに抵抗、警官隊が催涙ガスダンを撃つと、火炎ビンを投げて応戦した。

目撃者によると、ザマーレク・サポーターは警察車両1台に火をつけたという。

内務省の声明によると、死者と負傷者はサポーターによる押し合いで発生したという。また、サポーター数万人が試合会場のゲートから進入しようと押し合い、その結果、数十人が負傷したという。

また同省は次のことを明らかにした。

「治安当局は、試合会場のゲートでチケットを持っている人を入場させようチェックし、チケットを持たずに入場しようとしたサポーターたちを解散させた。するとかれらは周辺の交通を妨害して、ザマーレクの選手たちの乗ったバスの通行に支障を来し、選手たちが試合会場に到着するのを阻んだ。さらに警察車両の1台に火をはなったのである」

さらに、同省の声明では次のように続けた。

「われわれはサポーターたちを解散させ、選手と会場のピッチで使う備品類の到着の安全を図った。そして治安当局は押し合いにより死者が発生したという情報を受け取ったのである」

ヒシャーム・バラカート検事総長は、声明で、衝突事件に関して広範な捜査を開始するよう命じた。

また検察は、「死亡した遺体の解剖を法医学者に委託、死亡の原因を詳細に特定し、解剖終了後に遺体の埋葬を許可するよう命じている。また、カイロの捜査当局に対し、事件に関する捜査を課し、犯人を割り出し、逮捕し、捜査のため検察に送致するよう命じた」

この衝突事件にもかかわらず、ザーマレクとインビーとの試合は予定より30分遅れて行われた。

エジプトサッカー連盟は日曜の夜、緊急の会合を持ち、サマーレク対インビー戦で起こったこの悲しむべき事件を受けて、観客の入場を認めた試合実施の決定の凍結を決めた。

連盟は最近、日曜に始まったリーグ戦の第2ラウンドから、観客数を1万人ときびしく制限した上で、観客の入場を許可して試合を実施することを決定したばかりだった。

エジプトではいわゆる「ポートサイドの虐殺」以来、試合会場での観客の入場が禁じられている。これは、2012年2月2日、エジプト北部の都市ポートサイドで行われたアルアハリーとマスリーとの試合後、アルアハリーのサポーター集団ウルトラスのメンバー72人が死亡した事件だ。

ポートサイドの悲劇は、その前年のホスニー・ムバーラク大統領が打倒されたことにともなって生じた不安定な治安状況の中で起こったもので、エジプトのスポーツ史上最悪の惨事である。